このEnglish Campの目的
- 海外の語学研修に行くかわりに、大崎上島の瀬戸内グローバルアカデミーが、あたかもアメリカでホームステイしたような日常環境をつくります。英語で話しかけられた時に、硬くなることなく、また、構えることなく、自分で知っている単語を使い自分なりに返事ができるように努力してみます。
- 通訳技術を習得
主催者の長尾は、大学で教鞭をとる傍ら、大阪地方裁判所を中心に法廷通訳人として刑事裁判に約30年間携わってきました。また、神戸女学院大学大学院で通訳・翻訳研究科を立ち上げ、通訳・翻訳の理論、技法を研究し教えてきました。
その経験をもとに、今回のEnglish Campでは、その通訳技法を教え、日本語と英語の直訳ではなく、自分が理解したことを、他言語で表現し直すことを教えます。その為には、まず英語の語彙を増やし、文法の総復習もします。
5日しかないCampでは、それ以降、自分で英語を学ぶ手法を教えます。単語を丸暗記するのではなく、自分が好きな分野から語彙を増やし、その分野を日本語と英語の双方向に変換して他者に伝えることから始めるのです。これができればその分野の通訳はできることになるのです。
また、まず何よりも必要なことは、常に自分の意見を持つということです。t受け身ではなく、つねに自分で考えられる思考力を持つことが大切です。自分が人に説明したいことを、人よりより深く知り、日本語・英語双方で知識を集積することです。
Campでの具体的学習方法は、参加者それぞれが自分の興味のある分野を探し、他者に説明する原稿を作ります。そして、その文章を英語の文法構造に合うように組み立て直し、ネーティブの講師に聞いてもらい、言いたいことが100%通じるかどうか試してみます。これには、言葉だけではなく、他者に伝えようとする情熱も必要です。
またここで、英語と日本語の違い(文化の近い)を学びます。英語は直接的であり、日本語は間接的であるのです。日本語は相手が推論してくれることを前提に、できるだけ簡略して表現します(例えば主語は省略することが多い)。英語は反対で、主語、動詞、目的語がはっきりしていないと、通じません。
例えば、裁判の場面で、検察官が被告人に次のような質問をしました。
「とったのか?」
これは、それまでの状況を、検察官も被告人双方が共有していることを前提としています。
この表現は、法廷通訳人としては通訳できない言葉なのです。
何故?
まず、だれが(主語)がありません。
何を(目的語)もありません。
英語では、文章にするのに必ず主語+動詞+目的語が必要です。
法廷での通訳は通訳者が勝手に推論できません。
また、「とる」という言葉は二つの意味の可能性があります。
「盗る」と「取る」。
英語にすると「rob」「強盗」と「steal」「窃盗」で適応法が異なってくるのです。つまり、通訳者がどちらに訳したかによって、検察官の質問が歪められてしまう可能性が出るのです。通訳者としてはどちらにもならないような英語を探さなければなりません(→take)。
英語を話す人への質問は、曖昧の表現で推測(誤解)を導くことなく、直接的で完全な文法構造にはめ込めなければなりません。
Did you take(rob, steal)the car? のように。
この事例で分かるように、通訳をするということは、自分勝手に言語変換するのではなく、発話者の心理や意図を理解する必要があるのです。そんなこともCampの間に解説します。 - お昼からは、SUPや海水浴など、大崎上島の大自然を謳歌するプログラムを用意します。
- 夕食後は、個別に学年に合わせたレベルの「文法の棚下ろし」をします。
お問い合わせ先
瀬戸内グローバルアカデミー
Mail: sga@aust.jp
TEL: 0846-63-1755